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実験TIPS

大腸菌のグリセロールストック作製方法

グリセロールストック(glycerol stock)は、大腸菌を-70℃で長期保存するための方法です。

60%グリセロールの調製

(1)グリセロールとDWを用いて60%グリセロール(v/v)を調製*1
(2)オートクレーブで滅菌
(3)室温に保管

*1 グリセロールは粘性が高いため、シリンジを用いて計量すると扱いやすい。

液体培養からのグリセロールストック

(1)大腸菌を液体培地でovernight培養
(2)マイクロチューブ内で(1)の菌液と60%グリセロールを3 : 1で混合(例:菌液 600 μl + 60%グリセロール 200 μl)*2, 3
(3)-70℃で保管

*2 グリセロール終濃度:15%
*3 混ざりにくいのでよく混ぜ、均一になったことを確認します。

コロニーからのグリセロールストック

(1)大腸菌を寒天プレート培地でovernight培養
(2)LB液体培地と60%グリセロールを3 : 1で混合(例:LB液体培地 3 ml + 60%グリセロール 1 ml)
(3)マイクロチューブに(2)を1 mlずつ分注
(4)コロニーを1,000 μlチップで採取して(3)のチューブにゲルごと加える*4
(5)-70℃保管*5

*4 チップでコロニーを採取する方法
(a) 1,000 μlマイクロピペットにチップをつける。
(b) マイクロピペットの目盛りを300 μl程度にする。
(c) プッシュボタンを押し込んだ状態で、ゲルごとコロニーを貫く。
(d) チップの先がプレートの底に付いたらプッシュボタンを戻してゲルを吸う(チップの中にゲルが飛び込んでくる)。
(e) 上記(3)の液のなかでピペッティングしてゲルを液に落とす。

*5 コロニーからグリセロールストックを作製した場合、液体培養から作製したグリセロールストックよりも、液体培地に植菌して起こした際に培養に時間がかかる場合があります(採取するコロニーの大きさ等によっても、液体培養が必要な時間が変わってきます)。

グリセロールストックの起こし方

以下の2種類の方法があります。

  • グリセロールストックが凍ったまま、チップや白金耳等で表面を掻き取り、液体培地または寒天プレート培地に植菌。
    →複数回使用してもグリセロールストックの傷みが少ない。

  • グリセロールストックの一部を融解し、融けた部分をマイクロピペットで取って液体培地*6または寒天プレート培地に植菌
    →特に液体培養では、植菌量を調整できるので培養時間のコントロールがしやすい。

*6 融解したグリセロールストックを液体培地に植菌する場合、グリセロールストックは液体培地の1/100 ~ 1/1000倍量を加えます(菌体の増殖速度やグリセロールストック中の菌数に応じて調節)。

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