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実験TIPS

ポリアクリルアミドゲルの調製~電気泳動までの流れ
(SDS-PAGE)

Laemmli法

Tris-Tricine SDS-PAGEのゲル組成,泳動バッファー組成は「Tris-Tricine SDS-PAGE」をご覧下さい。

準備する試薬

<ポリアクリルアミドゲル>
  • 1.5 M Tris-HCl (pH 8.8)

  • 0.5 M Tris-HCl (pH 6.8)

  • 30% アクリルアミド/ビス溶液:冷暗所保存

  • 10% SDS (sodium dodecyl sulfate:ドデシル硫酸ナトリウム)

  • 10% APS (ammonium persulfate:過硫酸アンモニウム):用事調製

  • TEMED (N,N,N’,N’-tetramethyl ethylenediamine)

<泳動バッファー>
  • Tris-Glycine SDS buffer:25 mM Tris, 192 mM Glycine, 0.1% SDS

<2×サンプルバッファー (レムリバッファー)>
  • 125 mM Tris-HCl(pH6.8), 4% SDS, 20% glycerol, 10% 2-mercaptoethanol(もしくは200 mM DTT), 0.02% BPB

試薬の調製

 

 

 

1.5M Tris-HCl (pH 8.8) トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris):18.2 g
超純水に溶解、塩酸(HCl)でpH 8.8に調整し、100 mLとする
0.5M Tris-HCl (pH 6.8) トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris):6.1 g
超純水に溶解、塩酸(HCl)でpH 6.8に調整し、100 mLとする
30%アクリルアミド/ビス溶液(C:5%)
※冷暗所保存
アクリルアミド:28.5 g
※アクリルアミドの取り扱いには十分注意すること
N,N’-メチレンビスアクリルアミド:1.5 g
超純水に溶解し、100 mLとする
この溶液を0.22~0.45 μmのフィルターで吸引ろ過する
10% SDS (Sodium Dodecyl Sulfate) SDS (Sodium Dodecyl Sulfate):10 g
超純水に溶解し、100 mLとする
10% APS (Ammonium Persulfate)
※用時調製
APS (Ammonium Persulfate):0.1 g
超純水1 mLに溶解する
10×Tris-Glycine SDS buffer
※使用時は超純水で10倍希釈する
トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris):30.28 g
Glycine:144.13 g
SDS (Sodium Dodecyl Sulfate):10 g
超純水に溶解し、1 Lとする(pH調整は不要)
2×サンプルバッファー
※ストック溶液は分注して-80℃で保存
0.5 M Tris-HCl (pH 6.8):2.5 mL
10% SDS:4 mL
グリセロール:2 mL
2-メルカプトエタノール:1 mL(もしくはDTT:0.3 g)
1% BPB溶液:0.2 mL
超純水で溶解し、10 mLとする

 

 

 

手順

①プレートの組み立て
POINT

プレート,コーム,シールガスケットは70% エタノールで清拭してから組み立てる。
汚れているとゲルがうまく固まらず,きれいな泳動像が得られない。

プレート,コーム,シールガスケットは70% エタノールで清拭してから組み立てる。
汚れているとゲルがうまく固まらず,きれいな泳動像が得られない。

②分離ゲル溶液の調製

泡立たないように注意しながらゲル溶液を混合する。重合開始剤であるAPSは最後に加える。

表1.分離ゲル溶液の調製(ミニゲル2枚の場合)

 

 

 

分離ゲル濃度6%7.5%10%12.5%15%
超純水(mL)8.057.36.054.83.55
1.5 M Tris-HCl (pH 8.8)3.753.753.753.753.75
30% アクリルアミド/ビス溶液3.03.755.06.257.5
10% SDS0.150.150.150.150.15
TEMED0.00375 (3.75 μl)0.00375 (3.75 μl)0.00375 (3.75 μl)0.00375 (3.75 μl)0.00375 (3.75 μl)
10% APS0.050.050.050.050.05
③分離ゲルの重合(1時間以上)
  1. 調製した分離ゲル溶液をプレートに注ぐ

  2. 注いだ分離ゲル溶液の上に蒸留水を静かに重層する

  3. ゲルが固まるまで静置する(ゲル溶液のあまりでゲル化具合を確認できる(酸素との接触に注意する))

POINT

分離ゲル濃度が高い場合は,蒸留水ではなく,水飽和1-ブタノールを重層するときれいな境界面が得られる。
(水飽和1-ブタノールの調製:50 mLチューブ等に適量の水(例:20 mL)と適量の1-ブタノール (例:20 mL)を入れ激しく混合する。静置によって2層に分かれた上層を使用する。)

④濃縮ゲル溶液の調製(ミニゲル2枚の場合)

泡立たないように注意しながらゲル溶液を混合する。重合開始剤であるAPSは最後に加える。

表2.濃縮ゲル溶液の調製(ミニゲル2枚の場合)

 

 

 

分離ゲル濃度3%4%5%
超純水(mL)3.93.73.5
0.5 M Tris-HCl (pH 6.8)1.51.51.5
30% アクリルアミド/ビス溶液0.60.81.0
10% SDS0.060.060.06
TEMED0.003 (3 μl)0.003 (3 μl)0.003 (3 μl)
10% APS0.060.060.06
⑤濃縮ゲルの重合(1時間以上)
  1. 重層した蒸留水またはを水飽和1-ブタノールを取り除く

  2. 調製した濃縮ゲル溶液を注ぐ

  3. 空気が入らないように注意しながらコームを挿し込む

  4. ゲルが固まるまで静置する(ゲル溶液のあまりでゲル化具合を確認できる(酸素との接触に注意する))

  5. ゲルを保管する場合は、チャック付き袋やラップで包み4℃で保管する(さらに蒸留水で湿らせたワイパーを入れることで乾燥を防ぐことができる)

⑥試料の調製
  1. 分析するタンパク質溶液と 2×サンプルバッファーを1:1で混合する

  2. 95℃で5分間加熱した後、氷上に置く

⑦泳動槽へゲルをセット
  1. シールガスケット、クリップを外す

  2. 泳動槽へゲルをセットする

  3. 泳動バッファーを注ぐ

  4. コームを外す

POINT

泳動の乱れを防止するために,ゲル板の下の気泡をしっかり除去すること。

⑧電気泳動

タンパク質分子量マーカー,調製した試料をロードし,泳動スタート。

POINT

・ロードする直前にウェルをピペッターなどで軽く洗浄し,ゲルの破片などの泳動の妨げとなるものを取り除く。
・ゲルの両端のレーンは泳動が乱れやすいのでなるべく使用しない。
・使用しないウェルに1×サンプルバッファーをロードするときれいに泳動できる。
・ロードする試料の液量を揃えるときれいに泳動できる。
・ローディングチップなどを用いてウェルの底にロードするときれいに泳動できる。

・ロードする直前にウェルをピペッターなどで軽く洗浄し,ゲルの破片などの泳動の妨げとなるものを取り除く。
・ゲルの両端のレーンは泳動が乱れやすいのでなるべく使用しない。
・使用しないウェルに1×サンプルバッファーをロードするときれいに泳動できる。
・ロードする試料の液量を揃えるときれいに泳動できる。
・ローディングチップなどを用いてウェルの底にロードするときれいに泳動できる。

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⑨バンドの確認

CBB染色や銀染色によりバンドを確認する。またはウエスタンブロッティングなどの次の実験に進む。

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Tris-Tricine SDS-PAGE

 

準備する試薬

<ポリアクリルアミドゲル>
  • 49.5% アクリルアミド/ビス溶液(C:3% ):冷暗所保存

  • 3 M Tris-HCl(pH 8.45), 0.3% SDS

  • 10% APS(ammonium persulfate:過硫酸アンモニウム)

  • TEMED(N,N,N’,N’-tetramethyl ethylenediamine)

<泳動バッファー>
  • 陽極側バッファー:0.1 M Tris-HCl(pH 8.9)

  • 陰極側バッファー:0.1 M Tris, 0.1 M Tricine, 0.1 M SDS

<4×サンプルバッファー (レムリバッファー)>
  • 150 mM Tris-HCl(pH7.0), 12% SDS, 6% 2-mercaptoethanol(もしくは400 mM DTT), 30% Glycerol, 0.05% CBB

試薬の調製

 

 

 

49.5% アクリルアミド/ビス溶液(C:5%)
※冷暗所保存
アクリルアミド:48 g
※アクリルアミドの取り扱いには十分に注意すること
N,N’-メチレンビスアクリルアミド:1.5 g
超純水に溶解し、100 mLとする
この溶液を0.22~0.45 μmのフィルターで吸引ろ過する
3M Tris-HCl (pH 8.45), 0.3% SDS トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris):36.4 g
SDS (Sodium Dodecyl Sulfate):0.3 g(0.3%)
超純水に溶解、塩酸(HCl)でpH 8.45に調整し、100 mLとする
10% APS (Ammonium Persulfate)
※用時調製
APS (Ammonium Persulfate):0.1 g
超純水1 mLに溶解する
10×陽極側バッファー
※使用時は超純水で10倍希釈する
トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris):121.14 g
超純水に溶解、塩酸(HCl)でpH 8.9に調整し、1 Lとする
10×陰極側バッファー
※使用時は超純水で10倍希釈する
トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris):121.14 g
Tricine:179.17 g
SDS (Sodium Dodecyl Sulfate):10 g
超純水に溶解し、1 Lとする(pH調整は不要)
4×サンプルバッファー
※ストック溶液は分注して-80℃保存する
0.5 M Tris-HCl (pH 7.0):3 mL
SDS (Sodium Dodecyl Sulfate):1.2 g
グリセロール:3 mL
2-メルカプトエタノール:0.6 mL(もしくはDTT 0.6g)
1% CBB溶液:0.5 mL
超純水で溶解し、10 mLとする

 

 

 

手順

①プレートの組み立て
POINT

プレート,コーム,シールガスケットは70% エタノールで清拭してから組み立てる。
汚れているとゲルがうまく固まらず,きれいな泳動像が得られない。

プレート,コーム,シールガスケットは70% エタノールで清拭してから組み立てる。
汚れているとゲルがうまく固まらず,きれいな泳動像が得られない。

②分離ゲル溶液の調製

泡立たないように注意しながらゲル溶液を混合する。重合開始剤であるAPSは最後に加える。

表3.分離ゲル溶液の調製(ミニゲル2枚の場合)

分離ゲル濃度 16.5%
超純水 7.6 mL
3M Tris-HCl (pH 8.45), 0.3% SDS 10
49.5% アクリルアミド/ビス溶液 10
グリセロール 2.4
TEMED 0.01(10 μl)
10% APS 0.1
③分離ゲルの重合(1時間以上)
  • 調製した分離ゲル溶液をプレートに注ぐ

  • 注いだ分離ゲル溶液の上に蒸留水を静かに重層する

  • ゲルが固まるまで静置する(ゲル溶液のあまりでゲル化具合を確認できる(酸素との接触に注意する))

POINT

分離ゲル濃度が高い場合は,蒸留水ではなく,水飽和1-ブタノールを重層するときれいな境界面が得られる。
(水飽和1-ブタノールの調製:50 mLチューブ等に適量の水(例:20 mL)と適量の1-ブタノール (例:20 mL)を入れ激しく混合する。静置によって2層に分かれた上層を使用する。)

④濃縮ゲル溶液の調製(ミニゲル2枚の場合)

泡立たないように注意しながらゲル溶液を混合する。重合開始剤であるAPSは最後に加える。

表4.濃縮ゲル溶液の調製(ミニゲル2枚の場合)

濃縮ゲル濃度 4%
超純水 8 mL
3M Tris-HCl (pH 8.45), 0.3% SDS 3
49.5% アクリルアミド/ビス溶液 1
TEMED 0.009(9 μl)
10% APS 0.09
⑤濃縮ゲルの重合(1時間以上)
  1. 重層した蒸留水またはを水飽和1-ブタノールを取り除く

  2. 調製した濃縮ゲル溶液を注ぐ

  3. 空気が入らないように注意しながらコームを挿し込む

  4. ゲルが固まるまで静置する(ゲル溶液のあまりでゲル化具合を確認できる(酸素との接触に注意する))

  5. ゲルを保管する場合は、チャック付き袋やラップで包み4℃で保管する(さらに蒸留水で湿らせたワイパーを入れることで乾燥を防ぐことができる)

⑥試料の調製
  1. 分析するタンパク質溶液と 4×サンプルバッファーを3:1で混合する。

  2. 95℃で5分間加熱*1した後,氷上に置く

*1 SDS存在下において加熱すると凝集するタンパク質は,40℃で30~60分とする。

⑦泳動槽へゲルをセット
  1. シールガスケット、クリップを外す

  2. 泳動槽へゲルをセットする

  3. 泳動バッファーを注ぐ*2

  4. コームを外す

*2 下部バッファー槽に陽極側バッファーを,上部バッファー槽には陰極バッファーをそれぞれ注ぐ。

POINT

泳動の乱れを防止するために,ゲル板の下の気泡をしっかり除去すること。

⑧電気泳動

タンパク質分子量マーカー,調製した試料をロードし,泳動スタート。

POINT

・ロードする直前にウェルをピペッターなどで軽く洗浄し,ゲルの破片などの泳動の妨げとなるものを取り除く。
・ゲルの両端のレーンは泳動が乱れやすいのでなるべく使用しない。
・使用しないウェルに1×サンプルバッファーをロードするときれいに泳動できる。
・ロードする試料の液量を揃えるときれいに泳動できる。
・ローディングチップなどを用いてウェルの底にロードするときれいに泳動できる。

オススメ!

お求めやすい価格の着色済みマーカー MultiColor Stable (#DM670)

⑨バンドの確認

CBB染色や銀染色によりバンドを確認する。またはウエスタンブロッティングなどの次の実験に進む。

オススメ!

CBB染色の時間を短縮したい,酢酸の刺激臭が苦手という方はこちら!
酢酸・アルコールフリー,短時間かつ高感度にCBB染色できるQuickBlue Staining Solution (#DS500)

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