ELISAより簡便なイムノアッセイを構築できるキット
ONEPot-G1 Immunoassay Kit <OpenGUS Method>
任意の抗体(Mouse IgG1)を用いてタンパク質等の抗原を検出する測定系を構築するためのキットです。変異体β-glucuronidase (GUS)を用いた新技術OpenGUS Immunoassayの原理で測定を行います。
ONEPot-G1 Kitでは、従来品のONEPot Kitでは測定できなかったヒト血清、FBSを含む試料での測定が可能となっています。 |
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※本製品は上田宏博士、北口哲也博士および朱博博士他(国立大学法人東京工業大学科学技術創成研究院(当時))の研究成果をもとに、BDLが開発、製品化しました。
※本製品の元となった技術が論文になりました(東京科学大学との共同プレスリリースはこちら)。
製品の特長
2種類の抗体(Mouse IgG1)で標的抗原をサンドイッチして、検出します*。
プレートへの抗体の固相化やウェルの洗浄は不要です。
抗体と検出用酵素は混合するだけでアフィニティ結合します。
抗体の使用量を節約できます(96 wellあたり、約2 μg×2種類)。
自動化との相性が良く、また廃液量は少量で済みます。
蛍光測定用キット(#DS852)と吸光度測定用キット(#DS862)があります。
* 多量体を安定に形成するタンパク質では、1種類の抗体のみで検出できる場合もあります。
ONEPotとELISAの比較
ONEPotを 使用する場合 | サンドイッチELISAを 自作する場合 | |
---|---|---|
抗体の固相化 | 不要 | 必要 |
使用抗体量 (96 well分) | 約2 μg×2種類 | 捕捉抗体:約100 μg 検出抗体:~数 μg |
検出抗体の標識 | 標識は不要 | 標識が必要 |
バッファー、抗体濃度等の条件検討 | 不要 | 必要 |
ONEPotを 使用する場合 | サンドイッチELISAを 使用する場合 | |
---|---|---|
廃液量 (96 well分) | 30 mL程度 | 200 mL程度 |
ウェル洗浄 | 不要 | 必要(3回×2) |
反応時間 | 2時間20分 | 3時間程度 |
検出感度 | ○ | ◎ |
自動化との 相性 | ◎ プレート洗浄用モジュールは不要 | ○ プレート洗浄用モジュールが必要 |
原理
大腸菌の野生型β-glucuronidase (GUS)は四量体を形成しています。一方、本製品に用いられる変異体GUSは単量体間の親和性が低下しており、二量体は形成するものの四量体をほとんど形成しません。そのため、活性が大きく低下しています。
本製品は抗体結合ドメインを融合させた変異体GUSです。本製品に抗原および抗体を加えることにより、変異体GUSの二量体同士が連結し、四量体が形成されます。こうして形成されたGUS 四量体は活性を有するため、抗原濃度依存的なシグナルを得ることができます。

注意事項
対象とする抗原が40 nM以上含まれるサンプルを推奨します。(200倍希釈して0.2 nMとして測定することを想定)
使用できる抗体はMouse IgG1です。
マウス血清はサンプルとして使用できません。
サンプル溶液の組成にシグナル強度が大きく影響される場合があります。
検出感度は抗原および抗体によって異なります。
操作方法概略
OpenGUS probe G1、抗体(2種類)、希釈したサンプルを混合する。
4℃で60分間静置した後、基質反応温度で20分静置する*。
基質を添加した後、60分間静置する。
蛍光または吸光度を測定する。
*蛍光測定用キットの場合は25℃、吸光測定用キットの場合は37℃で実施。

キット内容
OpenGUS probe G1
Reaction buffer
Fluorescent substrate(#DS852のみ)
Colorimetric substrate(#DS862のみ)
別途ご用意いただく試薬/器具
標的抗原をサンドイッチ可能な抗体(Mouse IgG1)のペア(2種類)
精製抗原(検量線作成用)
96 well plate(測定法に対応したもの)
マイクロプレートリーダー
蛍光 (#DS852):励起光 340 nm / 蛍光 450 nm
吸光 (#DS862):主波長 405nm / 副波長 660 nm
使用例
使用例1:健常人血清およびリウマチ患者血清のC-Reactive Protein (CRP)濃度の測定
健常人血清(8名)およびリウマチ患者血清(6名)のC-Reactive Protein (CRP)濃度を、市販のELISAまたは本製品で測定し、得られた結果を比較した。


FAQ
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従来品のONEPot Immunoassay Kit(#DS850, #DS860)と本製品、どちらを選択すればいいか。違いは何か。
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まずは本製品をご使用いただくことをお勧めします。感度はほぼ同程度ですが、抗体やサンプルによって異なります。本製品は、従来品(#DS850, #DS860)と比較して特にMouse IgG1とのアフィニティの高い抗体結合ドメインを選択しています。そのため、Mouse IgG1以外のイムノグロブリンを含む試料であるヒト血清やFBSへの使用に適しています。 ただし、唾液試料に関しては、本製品より従来品(#DS850, #DS860)の方が適することを確認しています。
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蛍光/吸光度のいずれも測定可能なプレートリーダーを持っている。蛍光測定用キット(#DS852)と吸光度測定用キット(#DS862)のどちらのキットを選べばいいか。
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蛍光測定用キット(#DS852)の方が、若干感度が高い傾向にあるため、こちらをお勧めします。
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蛍光基質の反応に使用する25℃のインキュベーターを持っていない。
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蓋およびアルミホイルなどをかぶせて遮光し、室温で反応を行ってください。
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アジ化ナトリウムが抗体に含まれているが大丈夫か。
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終濃度0.1%のアジ化ナトリウムなら大きな影響はないことを確認しています。
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蛍光測定は、「励起光340 nm、蛍光450 nm」以外ではできないのか。
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励起光360 nm、蛍光480 nmでも測定できることを確認しています。ただし、感度はやや低下します。
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吸光測定は、405 nmでなければいけないか。
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405 nm周辺であれば測定可能です。ただし、吸光度はやや低下します。バックグラウンドに使用する波長も660 nm周辺であれば測定可能です。
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Mouse IgG1以外の抗体は使用できないか。
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本製品はMouse IgG1以外の抗体では使用できません。
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抗タグ抗体は使用できるか。
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Anti-6×His抗体は使用できません。その他の抗タグ抗体については確認を行っておりません。
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どの程度の濃度のタンパク質を測定できるのか。
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抗原、抗体によって測定できる範囲は異なります。下記「検量線を作成できた抗原濃度範囲」をご参照ください。
検量線を作成できた抗原濃度範囲 (基質反応時の抗原濃度)
抗原 | 濃度 | 使用抗体 |
---|---|---|
CRP | 0.4~34 ng/ml (0.0035~0.3 nM) | Anti-C-reactive Protein (High Sensitivity CRP), in vitro, Mouse-Mono(C2cc) (HyTest Cat. #4C28cc-C2cc)※ |
Transthyretin | 0.3~21 ng/ml (0.023~1.5 nM) | Anti-Human Transthyretin/Prealbumin, Mouse-Mono(760430) (Bio-Techne Cat. #MAB7505)※ |
Cry j1 | 1.6~39 ng/ml (0.041~1 nM) | Anti-Cry j 1, Mouse-Mono(013) (BDL Cat. #HBL-Ab-1-013)および Anti-Cry j 1, Mouse-Mono(053) (BDL Cat. #HBL-Ab-1-053) |
HSP60 | 2.5~200 ng/ml (0.041~3.3 nM) | Anti-HSP60, Mouse-Mono(2E4) (NKMAX Cat. #AHS0815)※ |
Lactoferrin | 4.4~124 ng/ml (0.054~1.5 nM) | Anti-Lactoferrin, Human, Mouse-Mono(1A1) (HyTest Cat. #4L2-1A1)※ |
※C-reactive Protein (High Sensitivity CRP), Transthyretin/Prealbumin, HSP60, Lactoferrinは多量体を形成しているため、抗体 1種類で検出することができた。
関連文献
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J. Su, et al., Analyst, 143, 2096-2101(2018). [PMID:29634056]
-
J. Su, et al., J. Biosci. Bioeng., 128, 677-682(2019). [PMID:31235413]
-
J. Su, et al., Sci. Rep., 9, 18189(2019). [PMID:31796769]
-
B. Zhu, et al., Biochemistry, 62, 309-317(2023). [PMID:35849118]
-
B. Zhu, et al., Biosens. Bioelectron. 267, 116796(2025). [PMID:39316870]
ライセンスに関して
本製品は、研究目的用にのみ販売しております。
本製品は東京科学大学よりライセンシングを受けて製造販売を行っております。日本国内での商業用ライセンスに関する情報については、株式会社バイオダイナミクス研究所にお問い合わせください。
本製品またはその改変物を、株式会社バイオダイナミクス研究所の書面による事前の承諾なしに、第三者への転売、商用製品の製造、サービスの提供に使用することはできません。


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